生活保護の運用について考えさせられる案件がありました。
なくなられた方は一人暮らし。亡くなるなる半年前に失業し、再就職先を見つけるかたわら失業保険でなんとか生活していましたが、受給期間が終了してからはまったく収入のない状態になりました。配偶者や子供はおらず、身よりは兄弟姉妹のみ。兄弟姉妹も窮状を知るとお金を渡していたそうですが、継続的に扶養するほど生活に余裕はありません。もちろん不動産等の資産ももっていません。
この方は生活保護の申請に行ったそうですが、本人は働く意志があり、体力は低下していたものの病名がつくような病気もなかったため、ハローワークに行くよう指導され、申請にいたりませんでした。その後亡くなりました。
兄弟姉妹が遺品整理のためアパートを訪れたときには、テレビが一台あっただけで、家財道具といえるものはほとんどなく、電気ガスは止まっており、窮状は明らかだったそうです。
今日食べるものもない人間に対してすぐに生活保護費を支給できなかったことこそが死の原因であったと私は考えています。このような窮状にある人に生活費でなく、ハローワークを紹介してなんになるでしょうか。
数年前に生活保護不正受給のニュースが流行りましたが、生活保護の不正受給はとんでもないことで決して許されることではありません。しかし、だからといってこのようなマスコミの情報を鵜呑みにして、”生活保護受給者はみんな怠けてる”などというというごく少数に過ぎない不届きものがまるで多数であるかのような誤った認識のもと、生活保護に対して否定的な認識をもつことはちがうと思います。真に生活保護を必要としている人が現にいます。このような状況の方が、世間の目を気にして生活保護の申請をためらうような状況も目にします。しかし、これでは最後のセーフティネットである生活保護が健全に機能しません。
現在は生活保護をなるべく申請させないような”水際作戦”のような運用がなされていますが、ひとまず生活保護の支給をして、その後の受給者の監督等をしっかりおこなっていくような運用にすれば、今回のような死が避けられたのではないかと感じました。
監督といっても、人員、設備に限りがあるなか可能かどうかは課題になるでしょうが・・・。
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