商業登記の登記懈怠と過料

【登記懈怠による過料の規定】
会社の登記事項に変更が生じたときには、登記事項によって違いはありますが、原則として2週間以内に変更の登記をしなければならないとされています(会社法915条1項)。
仮に変更登記をすることを怠った代表取締役に対しては、過料という名の反則金を課すことも会社法に規定されています(同976条1号)ので、登記事項に変更が生じた会社の代表者の方は十分注意が必要です。(登記懈怠の圧倒的多数事例は、役員変更登記の懈怠です)
【登記懈怠の期間は?】
では登記の期間を1日でも超過したら即過料に処せられるのかというとそうではありませんが、これに関する明確な基準はありません。
したがって、ここでお伝えできる情報は、司法書士としての経験や同業の諸先輩から聞いた情報をもとに割り出した傾向でしかなく、確実な基準ではないということをご承知ください。
・5ヶ月程度の登記懈怠であれば過料に処せられたという話は聞いたことがありません。
・6ヶ月程度の懈怠となると場合によっては過料が課されることがあります。
・1年となるとかなりの確率で過料に処せられることになります。
【過料の金額は?】
過料の金額ですが、条文上は「100万円以下の過料に処する」(会社法976条本文)と規定されていますが、実務上は10万円以下の金額で運用されているようです。
ここでも、明確な基準は明らかではありませんが、半年から1年で3万円程度、以降期間が長期化するごとに金額が増えていって、5年で10万円(これが最高額?)という運用になっているようです。
【過料の通知方法は?】
「登記官は、・・・その事件を管轄地方裁判所に通知しなければならない」(商業登記規則118条)とされており、過料の通知は、法務局の登記官からではなく、地方裁判所から代表者個人の住所に宛てて届きます。
代表者はこの通知書に記載の方法で個人の名義で過料を納めなくてはなりません。

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